横浜市総合リハビリテーションセンター 中期事業目標
令和2年度~令和8年度
中期事業目標
・ 横浜市におけるリハビリテーション施策の中核施設として、高い専門性を総合力として結集し、障害児者やその家族のよりよい地域生活の実現を目指します。
・ 障害児者やその家族のニーズと、変化するさまざまな時代要請を的確に把握しつつ、リハビリテーションセンターとして担うべき事業の検証を徹底して行うとともに、
新たなサービスを積極的に創出し、横浜市へ施策提案を行い、実行していきます。
・ 地域の支援者や関係機関にとって「具体的で実効性のある」支援を「使いやすく、かつタイムリー」に提供できるよう、新しい知見に基づく専門機能を発揮し、
地域の支援機関に信頼される施設を目指します。
・ 高い「品質」の事業・サービスを実現するために、各部門における業務改善への取組をさらに推進し、定着させる仕組みを構築するとともに、
職員一人ひとりの経営感覚及びコンプライアンス意識の定着を図ります。
中途障害対策部門 横浜市総合リハビリテーションセンター
・ 高次脳機能障害に対する専門的サービスを拡充し、高次脳機能障害支援センターとしての地域支援機能をさらに強化します。・ 先進的で効果的なリハビリテーションプログラムの開発・定着を図ります。また、最先端の福祉用具の評価・開発を推進します。
・ 感染症拡大防止対策を契機としたリモートワークへの対応など「新しい生活様式と働き方」に沿った就労プログラム・就労支援を行います。
(1)総合相談
・ 幼児期~高齢期に至るライフステージごとの障害児者と家族が抱える生活課題やニーズに対し、リハビリテーションセンターの専門機能を踏まえた相談支援を実施します。
・ センターの利用に限らず、支援の起点となるように障害に関わる様々な相談に対応し、 センターの支援が必要な場合には専門的機能を一体化した連続的・総合的サービスの導入を図ります。これらの支援では、個人情報の保護を徹底し、関係機関と十分な連携を行います。
・ リハビリテーションの専門機関の立場から、個別ニーズの把握と関係機関連携や会議参加を通して明らかになる地域課題を集約し、 社会的ニーズに適合した施策を提言するなど、行政施策と整合した具体的な事業の推進に貢献します。
・ 障害者更生相談所から委託された補装具判定や療育手帳・総合判定の心理判定、自立支援医療等に係る各種相談及び評価・判定等の業務に取り組み、 関係機関への技術援助についても協働していきます。
・ 高次脳機能障害への支援では、18区の中途障害者地域活動センターへの訪問による専門相談をとおして連携した相談支援を実施します。
(2)高次脳機能障害支援センター
・ 高次脳機能障害者への支援の強化として、社会・職業・医学的リハの包括的で柔軟なサービス体制での提供を行います。
・ 他の施設にはない特色ある高次脳機能障害の個別プログラム、グループプログラムの提供を行い、定着させます。
(3)診療(入院・外来)
・ 障害者支援施設や在宅リハビリテーションサービス事業、高次脳機能障害者支援センター等の他部門および地域関係機関との連携を強化し、 対象患者の増加を図るとともに、社会・地域生活に至る連続したサービスを提供します。
・ 運動機能障害に関しては、特に歩行能力や上肢機能の向上を図るために、歩行補助ロボット、免荷式歩行トレーニング、HANDS療法、CI療法など先進的な技術を導入します。 高次脳機能障害に対しては、集団での治療プログラムを発展させます。
・ 感染症対策として標準予防策を基本としながら、オンライン等も活用してグループ訓練、家族指導などが滞りなく実施できるよう、新たなプログラム手法を実施していきます。
(4) 社会参加支援
ア 障害者支援施設
・ 社会生活プログラムとして、障害者が地域で生活する上で生じる様々な個別課題について、社会生活力を高めるための個別あるいはグループプログラム等を通して支援します。
・ 医療・職業面のプログラムとして、診療所と連携し、健康・栄養管理、理学療法、作業療法、言語療法、認知リハビリテーションやカウンセリング(心理)、体育指導を実施します。
・ サービス等利用計画を踏まえ、診療部門による障害の予後診断にもとづく個別支援計画を作成し、心身機能の回復、社会生活力の獲得や向上、就労・復職支援等のプログラムを入所・通所の形態で提供します。 就労移行支援事業との連携により、 “住み慣れた地域・住みたい地域”での社会参加や就労を支援します。
イ 就労支援施設
・ 横浜市におけるリハビリテーションの中核施設に設置された就労支援施設として、高次脳機能障害等の影響から、より丁寧な就労支援が必要な方達に対する積極的な支援を行います。 また、社会一般の動向にも着目し、利用者が働き続けるために必要と思われる支援については積極的に取り入れていき、「治療と仕事の両立支援」等を行います。
・ 新しい働き方の一つとしてのリモートワークプログラム(在宅作業)では、オンライン会議システム等を活用したグループ討議と議事録作成、 パソコンによるプレゼンテーション資料作成・発表など、実務に近い形で参加できるプログラムを提供します。また、医療との協働プログラムでは、 職場で求められるコミュニケーションや、様々な後遺症特有の症状に応じた対応策をグループで共有し、障害理解の促進と実用的な方法を確認します。 さらに外出困難な方、難病の方の在宅就労への支援プログラムを開発、検討します。
・ スムーズな就労を目指すために、ハローワークと連携し、利用者と職場の双方にとって無理のない働き方での就職を目指し、就労定着支援についても、定期的な面談等のほか、 必要に応じて職場訪問を実施します。
ウ 職能評価開発事業
・ 職業ニーズのある利用者への各種相談、情報提供を、リハビリテーションセンターの関係部門と連携して行います。 特に高次脳機能障害支援センターと連携し、高次脳機能障害者の職業相談の充実を図ります。
・ 相談者の職業能力や職業適性を評価するために、各種職能検査と実習等を行い、評価に基づいた就労支援への適切な移行を図ります。
・ 就労移行支援事業へ移行するための評価機能を担い、法定の就労移行支援事業の利用が難しい方には、訓練、移行支援までのサービス提供を行います。
・ 休職中の高次脳機能障害者等とその家族、関係機関向けに、復職までの流れ、諸制度等について情報提供をします。
(5)企画研究開発
ア 補装具製作施設
・ 障害者更生相談所・リハビリテーションセンター診療部門・総合相談部門・地域リハビリテーション部門と連携して、補装具クリニックを開催します。 また、福祉機器支援センター・地域療育センターでも補装具クリニックを実施することで、横浜市内補装具利用者の地域的・頻度的利便性を高めるとともに、 質の高い補装具を提供します。
・ 補装具クリニックへ来所するのが困難な重度障害や難病の利用者の便宜を図るとともに、生活での補装具の適切な利用を促進するため、 障害者更生相談所の巡回相談事業やリハビリテーションセンターの在宅リハビリテーション事業と連携し、利用者の家庭や身近な場所でサービスを提供できる体制を強化します。
・ 横浜市内補装具事業者では技術的に対応困難な利用者に対し、研究開発部門が保有する高度な工学的専門性を活用して独自に補装具を製作・提供します。
イ 企画開発研究事業
・ 利用者個々の方のニーズにあわせて福祉用具を補装具制作施設と連携して製作・提供し、障害児者や高齢障害者の自立と社会参加を支援します。 在宅リハビリテーションサービス事業と連携し、福祉用具の適用や住環境整備に関する臨床工学サービスを提供します。
・ 各部門と連携しながら障害児者、高齢者の自立と社会参加を促進する福祉用具と住環境の研究開発を多面的に展開します。 また、発達障害児に対する住環境の改善についても、積極的に取り組んでいきます。
・ 研究活動について、臨床に役立つ技術システム、用具の発展のために、研究活動にも力を入れます。外部資金もとり入れながら積極的に活動します。
・ 高次脳機能障害、発達障害、難病の利用者・支援者のニーズに対して、テクノロジーの観点から有効なリハビリテーション技術を支援するための調査・研究を行います。
・ 集積された知識や技術をわかりやすく情報化し、多様な媒体をとおして、福祉・保健・医療・教育等のリハビリテーション関連従事者をはじめ広く一般に提供します。
【福祉機器の共同開発・臨床評価受託事業】
・ 事業団に蓄積されたリハビリテーションに関する知識・技術・ノウハウをもとに、民間企業・大学等で新たに開発しようとする福祉用具・システムの共同開発及び臨床評価を受託します。
・ 福祉用具・システムの研究開発で協働した企業・機関との連携を継続するとともに、福祉用具の開発・製造に係る企業に対する相談窓口を設けるなど、広報・相談体制を強化します。
(6)地域サービス
ア 地域・在宅巡回事業/横浜市福祉機器支援センター
・ 難病を含む在宅重度障害児者への適時、効果的なリハビリテーションサービスの提供に重点をおいた事業展開を図ります。医療機関、福祉保健センター、 訪問看護ステーションとの連携を強化するとともに、在宅重度障害児者に対し、リハビリテーション科医師や専門スタッフの派遣により、評価に基づいたリハビリテーションプランを作成し、 支援を行います。
・ 高次脳機能障害者の家庭復帰、社会参加、生活を継続する上での課題に対し、専門スタッフの派遣により、評価、実践を通した定着指導、家族や支援者に対する支援を実施します。
・ リハビリテーションセンターの方面別地域拠点として、地域関係機関や団体等と「顔の見える」綿密な連携調整を図り、 身近で即応性のあるリハビリテーションに係る各種サービスを提供します
・ 介護保険の給付対象の福祉用具に比較して情報収集が困難な、最新のテクノロジーを活用した福祉用具や、小児用の福祉用具などの展示や試用、情報発信を積極的に行い、 アクセシビリティ向上のため、IOT技術を活用します。
発達障害対策部門目標 横浜市総合リハビリテーションセンター
・ 中核センター機能として、ライフステージに沿った支援を強化するため、学齢後期(中学校期)から青年期以降への連続した医療・福祉サービスの拡充を、 肢体不自由、精神発達、難聴言語の各領域に応じて実施します。・ 港北区を担当する地域療育センター機能として、地域の療育関係機関の利用も含めた、総合的な支援プランを作成し提供することを目指します。
・ 難聴発見の早期化や人工内耳装用児の増加に対し、横浜市・市立ろう特別支援学校等と協議しつつ、これらに対応した早期療育体制を整備します。
(1)地域療育センター機能
ア 相談/地域サービス
・ 港北区を担当する地域療育センターとして、相談支援に取り組みます。特に相談から開始される療育を推進するため、心理士相談やひろば事業と合わせた相談を中心とした一次支援を強化します。 また、保育所・幼稚園、学校等の関係機関への相談支援にも積極的に取り組んでいきます。
・ 診察の申込みの有無に関わらず、日々の生活等保護者の困りごとへの支援を行い、不安軽減を図り、 相談から始まるセンター利用の流れの定着と、診療に依存しない支援体制の構築を図ります。
・ 福祉保健センターと協働で行われる療育相談事業、保育所・幼稚園を対象とする研修会等において、地域関係機関の早期発見とインクルージョン機能に対する支援を継続します。
イ 診療
・ 知的・精神発達障害、運動発達障害の児に対する多職種チームによる外来集団評価を継続実施し、二次支援の充実を図ります。
・ 医師による診断、集団評価や各専門職による評価を統合して「総合評価」とし、療育センターとしての「総合プラン」を策定します。
ウ 集団療育
(ア) 医療型児童発達支援/児童発達支援(知的)
・ 児童福祉法に基づく早期療育の場として、高頻度療育が必要な児童への頻度保証を行います。 個々の発達段階や障害の特性に合わせて個別支援計画を作成し、集団療育プログラムと個別療育プログラムを組み合わせて療育を進めます。
・ 家庭支援として、保護者の療育場面への参加による実体験や実践を始め、面談・家庭訪問、保護者教室・講座の開催を実施します。 また、平日の療育に参加できないご家族に対しては、土・日曜日に家族参観・講座を行い、療育や障害特性についての理解を深めてもらい、家庭生活のサポートにつながるよう支援をします。
・ 併用先の保育所・幼稚園等の関係機関を対象とした療育参観、クラス担任による訪問や個々の事例に関するコンサルテーション等を行います。 また、リハビリテーションセンターの他部署と協働し、保育所・幼稚園を対象としたセミナーの開催、研修会への講師派遣及び各関係機関職員の現場実習の場を提供します。
・ 卒園児の1年生~3年生の保護者を対象に、学齢期の相談や保護者同士の情報交換ができる機会として「卒園児保護者のつどい」を実施し、卒園後のフォロープログラムを設けます。
・ 医療と福祉が一体となって、チームアプローチによる一貫した療育を実現し、各部門の機能を相互に有効活用して、タイムリーに子どもと家庭への支援を行います。
(イ) 児童発達支援事業所「ぴーす新横浜」
・ 児童福祉法に基づく早期療育の場として、個別化されたプログラムによる集団での療育を行い、青年期の不適応を念頭に置いた、 発達障害の幼児に対する予防的プログラムを開発・実践します。
・ 保護者支援プログラムを提供し、親子登園日における療育参観、療育担当者による個別カウンセリング、保護者教室を実施します。 また、日常の療育場面に参加することができないご家族を対象とした土曜日開催の家族教室等のプログラムを通して、保護者の養育技能への支援とメンタルヘルスの維持を支援します。
・ 卒園児の支援として、低学年(1~2年生)と3年生以上では相談内容に違いがあるため、それぞれのニーズに合わせたサービスが展開できるよう整理し、実施します。
・ 保育所・幼稚園の職員に対して、他課と協力して研修会の自主開催、関係機関主催の研修会への講師派遣及びコンサルテーションなど、多様な支援を実施します。
(2) 中核センター機能
ア 相談/診療
・ 横浜市の早期介入の中核機能を果たす施設として、知的・精神発達障害、運動発達障害、聴覚障害に対する専門的、先進的医療を提供し、 他の療育機関では対応困難な障害に積極的に取り組みます。
・ 学齢期以降の知的・精神発達障害児者、運動発達障害児者に対して、地域療育センターや医療機関と連携してサービスの提供を行い、 事業団内の他部門とも協働で支援技術の開発と連携した支援体制の整備に取り組んでいきます。
・ ライフステージに即して地域生活を支援するため、連続かつ一貫した医療・福祉の総合的な支援サービスを、地域の支援機関の下支え機能、支援者支援機能として幅広く提供します。
イ 児童発達支援(難聴)
・ 0歳から就学まで毎週1回の個別療育と年齢別グループ療育を実施し、リハセンターが開発した「個別療育―個別面談―グループ療育―保護者集団面接―保護者教室」からなる 包括的な療育プログラムにより、難聴児とその保護者への専門的な支援を行います。
・ 保護者教室は市内の地域療育センターを利用している難聴児も参加できるようにし、全市的に提供します。また、卒園児・在園児交流会を開催し、 学齢期から成人期の難聴児及びその保護者と在園児が交流し、将来への話ができる機会を設けます。
・ 福祉保健センターとの連携を強化し、新生児聴覚スクリーニング未実施や聴覚低下などにより乳児期に発見されなかった難聴児の早期発見を推進します。
・ 個々の人工内耳装用児の言語・コミュニケーション発達に適した療育を行うため、市立ろう特別支援学校・人工内耳手術病院と連携した教育・療育システムの開発・整備を進めます。
・ 市内中核センター機能として、中学校期以降の難聴重複障害に関しての専門外来を行い、幼児期~学齢前期の療育を行う地域療育センターのサービス終了後からリハビリテーションセンターへの 療育ルートを確立し、地域の医療機関等では対応が困難な児に対し、成人期までの一貫したリハビリテーションサービスを実施します。
ウ 企画研究開発/地域サービス
・ Ⅰ-1-(5)・(6)参照
エ 学齢後期支援事業
・ ライフステージに沿った支援を強化するため、横浜市と協議しつつ、学齢後期(中学校期)から青年期以降への連続した医療・福祉のサービスを拡充します。
・ 学齢後期支援事業の実施機関として、医学、心理学的な診断、評価の精度を高め、医療、福祉、教育、就労など関係機関とのネットワークを形成し、 支援システムの確立と支援技術の開発を行います。